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2007年6月 9日 (土)

うんドロ

私が中学生の時分、好きな子の検便を盗んだのがバレて帰りのHRに教壇の上で晒し者になっている奴がいた。その女子は号泣、通り越して理解出来ない物事に放心。周辺の人間は盗んだ奴に向け、大事そうに抱えている検便ともども汚物を見るような目。担任はさすがに想定外のようで、どう対処していいのか戸惑っていたように見える。しかし当のうんこドロボウは憮然とした態度。


「どうして恵梨香(被害者の女子)の…、その…検便を盗むようなことをしたんだ?」担任が問うた。とりあえずその動機を聞き、クラスの統率者、常識人としての意見を述べ考えを直させ、謝罪を促し事の落着を謀ろうとしたのか。だが恐らくは周囲の生徒と同じく、その行動を起こすに至った動機を知りたいと言う好奇心から、と言うのが本当の所だろう。


しばらくの沈黙の後、うんドロは口を開いた。


「…皆さんの9割方はうんこを汚らしい、臭いものだとの認識であろう。だがここで問おう。臭い、とは一体なんなんだろうか。バラのにおいは屁のにおいを何倍かに薄めた物と対して変わらないらしい。じゃあ何故バラはかぐわしく、人々を魅了するのか。答えは簡単、バラの造形が際立って美しいからである。その美しさのためにあの強烈なにおいは嫌なにおいではなく、かぐわしく良い匂い、と認識されるのである。」


「それならばうんこはどうだろうか。確かに単品では臭い。それどころかお世話になった筈の食物の絞りカスである、自分のうんこですら嫌気がするほど臭い。しかも形状もハンパなくグロい。以上のことから形状、においともに間違いなく臭いものであるとわかる。だがどうだろう。そのうんこが恵梨香のものだったとしたら。あの可愛い恵梨香が、すれ違っただけでいい匂いのする恵梨香がこんな強烈なモノを繰り出している。あんなキラキラしている可愛い笑顔のかたわら、こんなトラウマになりそうなブツを日々生み出している。そう思うだけで瞬間そのうんこの放つ凄まじい臭気は一転、脳を揺さぶる、凄まじく良いにおい、いや匂いと変換されるのである。」


「さらに、人間は食した物を一部は身体の成分とし、また一部は排出する。その排出したものがうんこである。言わばうんことはその人間の身体となったものの反した物、その人間の負の分身である。そのうんこを愛せないで何故その人間を愛せようか。人間は良い部分はもちろん、ダメな部分も含めてその人だろうが。よって私は恵梨香の負の分身である、恵梨香のうんこを愛している。本音を言うと恵梨香当人よりも愛している。動機はこれくらいでいいだろう、もう家に帰してくれ。今日は恵梨香のうんこと風呂に入ったり、添い寝したり、ラストは口に入れねぶってねぶってねぶり倒し絶頂を迎え眠りに落ちると言う、人生最高の一日となる筈の日なのだから。」


生まれ落ちて十余年足らず、奴はどのような経験をし生きて来たのであろうか。皆が絶句した。担任もさすがに手を負えなくなったようで、しばらく呆然としていた。周りの人間もいたたまれない、と言った表情だった。もちろんその場にいた私もいたたまれなかった。更にそのうんドロが私だと言うのだから今現在ですらいたたまれない。

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