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2006年6月

2006年6月18日 (日)

サッカーの王様

我が村にペレがやってきた。こんなド田舎に何しに来たのか。人買いか。いやそうではなくなんでもサッカーをやる環境も整わない僻地の子供達にサッカーを教える、みたいな感じのイベントで来たらしい。


群がる子供達。保護者の大人たちもペレを遠巻きに見ていて平静を装うが、いささか興奮気味だ。にこやかに子供達にテクニックを教えるペレ。一段落着いた休憩中でも、サインや握手の要求にも笑顔で応じるいい人丸出しのペレ。終始和やかに進んだこのイベントだが、そろそろお開きにしますか、といったところで事件が起きた。ある子供がふざけて唐突に「この、勃起不全野郎!!」と叫んだのだ。



静まり返る周囲。凍りつく両親。その両親は、昨日の晩飯時に酔っ払って「明日来るペレはな、ED、つまりインポなんだぞーガハシャシャ!!」とかなんとか言って子供たちとはしゃいでいたのが悪かったのか、と反省しながらおろおろしていた。困惑する主催者はどうしていいかわからずただ沈黙してたが、ペレは一瞬真顔になっただけで、すぐにまた笑顔に戻った。だがそれと同時にその子供を力の限り蹴り上げていた。


宙を舞う子供。飛んでいく意識。「サッカーの王様」の通称は伊達ではない、現役を退いた今でもそのキックの輝きは色あせぬままであった。綺麗な放物線を描き落下し、白目をむいて痙攣している子供。あまりに綺麗な蹴りに少し見とれたが、すぐ我に返り慌てふためくその子供の両親に向かって、ペレはこう言った。


「医者に相談してください、私ならそうします。」だが当のペレは医者に相談する間もなく両親によって近所の湖に沈められた。

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2006年6月15日 (木)

四角顔

子供はいい、なんたって無邪気だもの。特に幼女はいい、というかもう幼女しか見えない、ぶっちゃけガキうんぬんとかはどうでもいいんだ、なによりも幼女と親しくなりたい。KATSUEIはそう思った。以前から道に歩いている幼女や知り合いの娘を見て可愛い、可愛いと思っていたのだ。もちろんこの可愛いというのは、子供はちっちゃくて猫や犬を見るのと同じような可愛い、と言うことでなく、性的な対象として可愛い、と言うことである。逆ではないか?いや、KATSUEIに限っては真摯にそう思っていたのだ。あまつさえ別荘に連れ去って余すところなく蹂躙したいとさえ思っていた。要は自分の性欲を幼女にぶつけたかったのである。


しかしKATSUEIもいい年であり、今までに築いてきた確固たる地位もある。万が一幼女誘拐などが世間にバレたら政治家生命も終わり、しかもお気に入りの某タックルにも二度と出れなくなると思い、欲求不満が募る毎日であった。



このように悶々した日々を送るKATSUEIだったがある日、同僚からこんな噂を聞いた。なんでも近所の治安の悪い、スラム街のような路地裏に秘密幼女クラブ「産婦人科より直送」なるところがあるらしい。それを聞いたKATSUEIは狂喜乱舞、いてもたってもいられず、その日の仕事も上の空、定時になると誰よりも早く我先にと走っていた。また実際先端からも先走っていた。じんわり染みつつあるスラックスを履き猛ダッシュするKATSUEI。


数十分後、KATSUEIは親の危篤でもそんな早く着かないだろうという早さで目的地に着き、そのクラブのドアの前で呼吸を落ち着かせていた。深呼吸をしてドアを開けたKATSUEI。しかし、我慢ならずすでにパンツを脱ぎ始めているKATSUEIをそこで待ち受けていたのは、黄色い帽子をかぶった幼児ルックの、もはや見飽きた感さえある顔の同番組出演者ヨーコ・タジマであった。はめられた、同僚の原口にはめられた。次回から時代劇のアレは俺がやるぜと、ほくそ笑む原口の顔が脳裏に浮かぶと同じ頃合、KATSUEIの意識は深い闇へと沈んでいった。その後KATSUEIの消息を知るものは誰一人いない。

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2006年6月 4日 (日)

環境にも優しいカレー屋「portio」

ここはごく最近できた、評判のカレー屋「portio」。出店してから日が浅いのにも関わらず、今日も店は満員だ。



皆が思い思いに食事を楽しんでいる中、若いシェフが客のカップルに近づき言った。「今日はご来店ありがとうございます。」シェフは若いながらもこの店の店長でもあった。

カップルの男の方が言った。「ここのカレーは実においしい。いやね、僕達は色々なカレー屋を回ってるんだが、ここのカレーは今まで食べた中でも1、2を争うよ。特にソースがいいね。このソースにはなんか秘密がありそうだが…聞かせてくれないかい?」

シェフ「お褒めの言葉ありがとうございます。そうですね…それを話すと長くなりますが、よろしいですか?」

男「今日はあとホテルに泊まるだけだから、いいですよ。いいよね?」

女「えぇ~?いいけどその代わり、今日は寝かせないよ~」

男「おいおい、店でそういうこと言うのやめろよ~」ほろ酔いでいい雰囲気の二人。

シェフ「そうですか。じゃあしばらく時間をいただきます。私は実は最近まで定職にもつかないニートだったんですよ。」

男「ほう。」

シェフ「高校に行ってたんですが、勉強してもダメ、スポーツしてもダメ、対人関係もダメで、何をやってもダメ。卒業するときも、就職活動もしたにはしたんですが、どこにも引っかからなくて。とりあえずはバイトをしてたんですが、それもミスの連発ですぐクビになる始末で。途方に暮れて家でボーっとしてたんですが、いつの間にか2年間過ぎてましてね。ある日、親がマジギレしまして。泣きながら。さすがにそれはいかんと、とりあえずまたバイトを始めたんですが、本当に自分使えなくてすぐまたクビになって。本当に自己嫌悪でしたよ。親にまで迷惑かけて、ただ家にいるだけで。やっていることと言えば、ご飯を食べては排泄、ご飯を食べては排泄。俺はただの糞便製造機かと。元生き物を食べて糞便を捻り出すために生まれてきたのかと。こんな人間を食いつながせるために死んだ豚とか可哀想ですよ。生まれて意味のない人間はいない、とよく申しますが、果たしてこの糞便製造機にはなんの意味があるのかと悩んでいたある朝、その日も親が作った冷や飯をかっ食らって、まぁ、食べたら出ますよね、とにかくトイレに大便をしに行ったわけです。そしたらですね、ふと、なんか妙だな、と思ったんです。便器が、なんか妙なんですよ。そこにあるのはいつものように糞便を捻り出すために生まれた職人が丹精込めて作ったうんこのはずが、なぜか匂いはとても食欲のそそる匂い。というかマジでヤバイ匂い。ご飯食べたばかりなのによだれだらだら流れるくらい、いい匂い。勇気を出してちょっと舐めてみたら、これがまたウマい。実にウマい。この複雑に絡まったスパイスといい、形状といい、正にカレー。いやそれどころか本場インドカリィ顔負けで絶品のソースでした。私メシを食うのだけが楽しみでしたから、色々と有名な店とかにも行ったりしていて割と舌は肥えていたんです。だがそのどこで食ったものよりもウマい。何と言うことだ、生きる意味がないと悩んでいたある日、まさか冷や飯を食ったらなんの苦労もなく極上のソースが出てくるとは。世界の食糧不足問題も一気に解決もんですよ。これは私の使命だと、宿命だと思いましたね。それからというもの、この絶品カリィを客に振舞うのを夢見て辛いバイトも心機一転頑張りました。そしてこつこつお金を貯めて、糞便製造機から一転、今や評判の店の主ですからね。」



「ちょっと話が逸脱しましたが、これが当店自慢のソースの誕生秘話でございます。」とシェフは話を締めたが、カップルは最後まで聞かず「なんでこんな店来たの!!」などとケンカしながら途中で帰った。ムードもへったくれもないので、恐らく今夜のお泊りはキャンセルだろう、とシェフはニヤリと笑った。

本当にそういう経歴があるでもなく、またマナーの悪い客を戒めようとしたわけでもなく、バカップルがいちゃいちゃしやがって、俺は汗水たらしてカレー作って、女も作らず頑張っているのに、うらやましい、いや本当に妬ましい、いっそ追い出してやると言ったひがみ根性丸出しの趣味があるお茶目なシェフのいる店は、糞便が材料の絶品カレー屋として評判が評判を呼び3週間で潰れました。

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